鮎が禁漁となった相模川にボラが遡上。これを狙って猛禽の「ミサゴ(鶚)」が上空に出動。現れるや一瞬でターゲットにロックオン、急降下。大きなボラをゲットして満足するも、重さのためか上昇が困難。

 連日にかけ、アフリカ由来の新変異オミクロン株の話題が止まりません。昨年は、アルファ株からデルタ株に移行した折、感染力のスピードと陽性者の増加には驚いたものです。政府には同じ轍を二度と踏むことのないよう万全の体制を作っておいて欲しいと願っています。

 

 神奈川県の主要河川である多摩川や相模川は鮎の遡上する川として良く知られています。11月の中旬からは鮎を守るために禁漁期間を設けて保護しており、釣り師や漁師の入らないこの時期は魚などを捕食する野鳥の楽園となります。今回取り上げる野鳥の「ミサゴ(鶚)」はその一つで、猛禽類としては珍しく魚類の肉を好物としています。管理人の住んでいるエリアに相模川が流れており、「ミサゴ(鶚)」の狩猟エリアは、個体の好みなのか年々移動しています。魚類や量、周囲環境を知り尽くしている彼らにして見れば当たり前なのかも知れません。

 

 「ミサゴ(鶚)」の魚を捕獲するシーンはダイナミックで、同じように小魚を捕る「カワセミ(翡翠)」の撮影以上に興奮します。野鳥撮影を始めた頃、手ほどきを受けた先輩から「ミサゴ(鶚)」撮影の醍醐味を教えて頂き、併せて撮影技術の難しさも教えてもらいました。今回は久し振りの「ミサゴ(鶚)」撮影です。上空から漁場に侵入する「ミサゴ(鶚)」は、セオリー通りであれば魚類を探すため上空を何回か旋回するはずでした。しかし、今回の「ミサゴ(鶚)」は、近付く過程で素早く獲物を探知し急降下したようなのです。ファインダーから「ミサゴ(鶚)」が突然消え、川の方を見ると大きな水しぶきと羽根を大きく広げる「ミサゴ(鶚)」が見えました。まさに一瞬の出来事でした。両足で捕まえた獲物は大きなボラで、羽根を大きく羽ばたきすると水しぶきを一面に散らして飛び上がり、重いのか水面を引きづるように上昇していきました。

 

 「ミサゴ(鶚)」の全長は、54から64センチメートル、翼開長は、150~180センチメートルで、その体重は1.2~2キログラムあります(☆)。今回の「ミサゴ(鶚)」は、30センチを超える大きなボラを捕まえていたのですが、自分の体重以上の重量物を運ぶことができるのでしょうか。大きな獲物を捕らえても、羽ばたいて起きる推進力が弱ければ上昇することは出来ません「ミサゴ(鶚)」は足の外側に棘があり、獲物を仕留めやすい代わりに外れ難い仕組みになっています(☆)。獲物の大きさの判断を誤ると水中や海中に引きづりこまれ死に至るケースもあります。意外と危険と隣り合わせの狩りなのです。「ミサゴ(鶚)」は、大きさを感知しながら狩りをしているのかも知れません。「ミサゴは何キログラムまで運べる?」のブログを監修している周南市の東氏は、体重の半分相当、1キログラム程度で大きさは40センチメートルくらいの物まで運べる、と紹介しています。

 

 野鳥撮影家の垂涎の的である「ミサゴ(鶚)」ですが、その分布は極地を除いてほぼ全世界に分布する野鳥で、ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の亜寒帯から温帯地域とオーストラリアの沿岸部で繁殖し、北方の個体はアフリカ大陸中部以南と南アメリカに渡って越冬します。我が国には、留鳥として全国に分布し、北海道には夏鳥として渡来しています。環境省のレッドリストで準絶滅危惧に指定されています(☆)。「ミサゴ(鶚)」は、カモ等と同じように密生した耐水性のある羽毛で覆われ、水中に潜っても問題がありません。雌雄が同じ色彩で、背中と翼の上面は黒褐色、腹部と翼の下面及び顔は白色をしています。眼を通って首に達する太い黒褐色の線が走ります。後頭部には小さな冠があり、クチバシは黒色、足は青灰色をしています。主に海岸に生息し、内陸部の湖沼や広い河川、河口などにも生息します。獲物は、上空から旋回しながら探し出し、獲物を捕捉すると羽根をバタつかせながら静止する、ホバリング探知も行います(☆)。

 

 最後に「ミサゴ(鶚)」の名前の由来について調べて見ました。諸説があり、一つ目は水を探る→「ミサグル」→「ミサゴ」に転じた。二つ目は水音のビシャと水が跳ねる音、つまり「ビシャゴ」→「ミサゴ」に転じたなどです。英名では、

Osprey・オスプレイです。自衛隊が導入した新型戦闘機の名称に使われ、垂直離着陸ができる、飛行機とヘリコプターが合わさった乗り物です。野鳥の「ミサゴ(鶚)」も獲物を捕獲して水辺から上昇する時は、まさに垂直に飛び上がります。

 

注)   ☆印は、Webウィキペディアのミサゴの解説を参照し、一部引用しています。

撮影場所;神奈川県寒川町 相模川

撮影日;2021.12.13