温暖な湘南の海に近い、住宅街の一角にある都市公園に、冬鳥としては数少ない「ニシオジロビタキ(西尾白鶲)」が渡来中。クヌギやナラの落ち葉の下は昆虫が豊富。小枝に止まって獲物を見つけるや急降下してすかさずゲット。

 新型コロナ感染症の新変異株、オミクロン株の市中感染が大阪府や京都で確認され、いよいよ第6波の到来が現実のものとなってきました。国は、空港等の検疫を強化し水際対策を徹底してきましたが、感染防止は限界に近づいています。今後は感染拡大が起きても、ワクチン接種効果や重症化を防く飲み薬で、如何に死者を出さないかにかかっています。

 

 12月も後半に入り、冬鳥たちの渡来も落ち着きを見せて来ました。今日は、知人から情報を得て湘南海岸に近い都市公園を訪ねました。この公園に、冬鳥でも稀にしか渡来しないという「ニシオジロビタキ(西尾白鶲)」が単独で渡来し、越冬しているとの情報です。毎年、横浜市の小さな公園に来ているのは承知していましたが、この公園に渡来するのは初めてのようです。

  

 オジロビタキ(尾白鶲)の亜種である「ニシオジロビタキ(西尾白鶲)」は、繁殖地域がユーラシア大陸の中でも西部で、地域の「ニシ・西」が和名の由来になっています。冬季になると東南アジア方面に渡って越冬します。日本には途中立ち寄りの旅鳥で、稀にこの公園にいる個体の様に冬鳥として越冬する鳥もいます(☆)。

 

 希少な鳥の部類に入り撮影できるチャンスはなかなかありません。そんな珍しい「ニシオジロビタキ(西尾白鶲)」ですが、場所は変わるものの横浜市の小さな公園に毎年のように来てくれていました。「ニシオジロビタキ(西尾白鶲)」と「オジロビタキ(尾白鶲)」は姿・形が良く似ています。その大きな違いはクチバシの色が違うことです。「ニシオジロビタキ(西尾白鶲)」の場合、下側クチバシが橙色もしくは淡褐色で、「オジロビタキ(尾白鶲)」のクチバシは、黒色です。次が尾の色の違いで、「ニシオジロビタキ(西尾白鶲)」の尾は、少し濃いものの周りの色と変わりませんが、オジロビタキ(尾白鶲)」の尾は、黒色です。この公園で撮影した個体は、下クチバシは橙色をしており、尾は周りの色と同色なので、「ニシオジロビタキ(西尾白鶲)」で間違いなさそうです。

 

 「ニシオジロビタキ(西尾白鶲)」の英名は、"Red Breasted Flycacher" ですが、この公園で確認した個体は、赤い胸には程遠く、ほんのりとした橙色をしています。名前のとおり飛翔する昆虫類を空中で捕食しますが、この個体は地上に舞い降りて獲物を素早く捕らえ、違う枝に舞い上がって捕食するを繰り返していました。捕らえた獲物を拡大すると節足動物のようで、枝に押さえつけた後クチバシを大きく開け呑み込みました。あっという間の出来事です。

 

 ニシオジロビタキ、色は薄い鶯色で地味ですが仕草が可愛く、愛嬌のある目と時々尻尾を上げ下げするお尻の動きに癒されます。餌の捕獲は、同じヒタキ仲間のキビタキやノビタキは、英名の"Flycacher"どおり空中や樹上で行いますが、この個体は地上に降りての採餌を繰り返しています。撮影に当たり、動きが早く追いかけるのが大変でしたが、餌を捕る時には必ず地上に降りるのでそれを待って照準をすれば楽に撮ることが出来ます。温暖な湘南の地でゆっくり過ごし、この冬に栄養を付けて元気に旅立って欲しいものです。

 

注)☆印は、Web版ウィキペディアのオジロビタキの解説を参照しました。

撮影場所;神奈川県藤沢市

撮影日;2021.12.25