シベリアなど北の国からやって来た冬鳥の「ウミアイサ(海秋沙)」。ここ東京湾の日の出三番瀬には、穏やかな気候と潤沢な食糧を目当てに、例年数組のグループが渡来。オスのウミアイサは、婚姻色に染まって婚活中 !!

 浦安の日の出三番瀬は穏やかな気候と潤沢な食糧を目当てに、多くの冬鳥を引き寄せています。冬の間は、スズガモの大群が湾を埋め尽くすほど渡来し賑やかですが、その中に混じって「ウミアイサ(海秋沙)」も時折り岸辺に近づいて存在感を示しています。

 

 「ウミアイサ(海秋沙)」の世界的な分布は、アイスランド、スカンジナビア半島、シベリア、アラスカ、グリーンランドなどの北国で夏に繁殖をし、冬季はヨーロッパの大西洋、地中海沿岸部、中国東部、日本沿岸部、北アメリカ沿岸部などで越冬します(☆)。分布は非常に広く、生息数は安定していると考えられていますが、森林伐採やダム建設などで生息地の破壊や水質汚濁があり、近年では鳥インフルエンザ等の感染症の影響が懸念されています(☆)。

 

 「ウミアイサ(海秋沙)」の全長は48~66センチメートルあり、メスよりオスの方がやや大きく、虹彩は赤色をしており、細長いクチバシは先が鈎状をしていて獲物を逃がさないようにしています。足も赤色です(☆)。オスの頭部は光沢のある緑黒色をしており、冠羽と思しき不揃いな長さの毛髪が数10本あります。首の周りは白い帯模様があり、その下側には黒色斑が混じった褐色の帯模様があります。体側面は白色と黒色からなる波上の斑紋があり下面は白色をしており背中は黒色です(☆)。「ウミアイサ(海秋沙)」は、河川や湖沼に生息しているカワアイサに色や形など良く似ていますが、カワアイサには頭部の不揃いな長さの冠羽がありません。

 

 越冬場所では沿岸や入江などに生息しており、時折り砂浜に上がって休息することもあります。群れで行動していることが多く、繁殖期には淡水湖沼や河川に生息し、小規模のコロニーを形成することもあります(☆)。管理人は別の場所になりますが、ウミアイサの群れがそれぞれの役割を分担し、軍隊さながらに兵士を横に展開しながら、海面と水中からの二面攻撃で、岩礁に小魚を追い詰める追い込み漁を見たことがあります。集団での追い込み漁は、カワアイサも時々やっているようです。漁師顔負けの知恵者です。

 

 日の出三番瀬で越冬する「ウミアイサ(海秋沙)」は三羽確認しましたが、一羽のオスが二羽のメスを従えていました。数の上で少ない方を取り合いし、オスがやや優位に立っているようです。オスは春を前にして綺麗な婚姻色をしており、メスに見せつけているのかも知れません。穏やかな気候と餌も豊富な日の出三番瀬で、栄養を沢山つけ丈夫な子を沢山産み育て、秋には再び戻ってサイクルを閉ざさないようにして欲しいと願っています。

 

注)    ☆印は、Webウィキペディアのウミアイサの解説を参照し、一部引用しています。

撮影場所;千葉県浦安市 日の出三番瀬

撮影日2022.1.23