春は渡りの季節。越冬先から渡来した「コアオアシシギ(小青足鴫)」の仲良しカップルが、今田遊水地の浅瀬で羽根休め。渡りでお腹が空いているのか二羽とも採餌に一心不乱。

 先日は酒匂川の下流で珍しい「コシャクシギ(小杓鴫)」を観察したばかりですが、本日は雨の合間に今田遊水地を訪ね、これも珍しい「コアオアシシギ(小青足鴫)」を観察してきました。渡りの野鳥は、越冬地の東南アジアなどからシベリア方面に向かう途中でコースから外れた野鳥が我が国に立ち寄るケースがあり、この季節の醍醐味になっています。

 

 境川の氾濫防止の目的で造られた今田遊水地には、境川に並行して一時池が造られ、池には葦原が配置されて野鳥たちの格好の楽園になっています。池の中には、魚や水生昆虫が沢山棲息するようになり、夏には「菱」などの水生植物も繁茂し、水鳥たちの食糧が十分確保され多くの野鳥を引き寄せています。何より葦原は一年をとおして野鳥たちに隠れ場所を提供できるので、安心と安全を兼ね備える魅力的な場所と言えるかも知れません。

 

 初めに触れたように、渡りの野鳥の中でも「コアオアシシギ(小青足鴫)」の立ち寄りは、なかなか見ることのできない野鳥です。管理人はこれまで秋の渡りの「コアオアシシギ(小青足鴫)」を2回ほど確認しましたが、春の渡りを確認したのは初めてです。春の渡りは、羽根の色が繁殖前なので夏羽根で綺麗に見えると思われます。Webのコアオアシシギの解説を参照すると、繁殖地は主にロシア南部から中央アジアにかける地域です。日本には旅鳥として春と秋の渡りの時期に、本州、九州、沖縄において少数が立ち寄るとあります。我が国は渡りのコースになっていないのかも知れません。

 

 「コアオアシシギ(小青足鴫)」は、全長が約24センチメートルでムクドリなどと同じくらいの大きさです。成鳥は繁殖期の夏羽根と非繁殖期の冬羽根があります。成鳥の夏羽根は、頭部から胸まで淡青灰色で細かい黒斑が入ります(☆)。背は灰褐色、体の下面は白色で、クチバシは黒色、足は、名前の由来でもある黄緑色(和名の青)をしています。成鳥冬羽根は、頭部からの体の上面が灰色で白い羽縁があります(☆)。足の色は暗色がかっています。雌雄は同色となります(☆)。

 

 非繁殖の越冬時は、海岸近くの水田や湿地、干潟などに生息し、繁殖期は湿地そばの草地などに生息します。食性は動物食で水生昆虫、甲殻類、貝類などを捕食します。日本への立ち寄りは単独か数羽の群れで渡来します(☆)。今田遊水地には二羽のカップルが、一時池の浅瀬で干上がりの見える上流側に逗留しています。観察の間、忙しなく泥の中の水生昆虫を採餌しており、頭を上げる余裕がないように見えました。渡り先の北国へは間もなく、栄養を沢山摂って元気に目的地まで旅立って欲しいものです。

 

注)    ☆印は、Webウィキペディアのコアオアシシギの解説を参照し、一部引用しています。

撮影場所;横浜市泉区下飯田 今田遊水地

撮影日;2022.4.20