関東地方の公園には越冬のため冬鳥としてやって来る「アカハラ(赤腹)」。今季、出会えず仕舞いが、標高ある河口湖F.C.周辺の草地で採餌に遭遇。愛嬌ある顔に懐かしい出会い。

 ゴールデンウィークも後半に入り、高速道路は東京に戻る人たちで上り方面が混雑をして来ました。今年はコロナ感染症の行動制限を受けず、人出はやっと本来の姿に戻ったようです。本来の姿と少し違うのが野鳥の世界で、今冬は寒波の影響が続き、渡り鳥たちが途中立ち寄り先で長逗留をしており、その結果、到着時期の遅れが危惧されているようです。

 

 先日はコマドリのメッカと言われる柳沢峠を訪ねましたが、コマドリの鳴き声を聴くことはできませんでした。冒頭の影響を受けているのでしょうか。今回は、富士山麓(ふもと)となる河口湖フィールドセンターを訪ねました。同センターは、連休期間中、特別開園を行っています。山の中の貴重なオアシスとして野鳥たちの水飲み場になっており、色々な種類の野鳥を観察できるので、野鳥観察家たちの間では人気のスポットになっています。水飲みにやって来る野鳥の中でもこのブログで取り上げたいのは、赤いお腹の「アカハラ(赤腹)」です。「アカハラ(赤腹)」は、管理人が住んでいる関東では冬季に近くの公園で見られる野鳥ですが、出会うことができませんでした。水場で野鳥を撮っていると、他のカメラマンが草地で採餌する「アカハラ(赤腹)」を見つけました。意外なところで久し振りの出会いでした。

 

 「アカハラ(赤腹)」は、ツグミ科ツグミ属に分類される野鳥で、中国、台湾、日本及びフィリピン北部などに分布します(☆)。夏季に日本(本州中部以北)で繁殖し、冬季になると中国南部や日本(本州中部以西)、フィリピン北部などへ南下し越冬します(☆)。管理人が住む関東地方では越冬にやって来る冬鳥として、近くの公園で良く見ることができます。同じ時期、頭や顔の周りが一段と黒い、オオアカハラを見ることもできます。オオアカハラは、夏季に千島列島やロシア・サハリンで繁殖しており、冬季になると日本へ南下し越冬する野鳥です。

 

 「アカハラ(赤腹)」は、古くはチャジナイと呼ばれていたそうです。漢字で「茶鶫」と書き、ツグミの腹が黒ゴマ模様で白いのに対し、お腹が赤茶色をしていることから茶のツグミ(鶫)と書いて茶鶫(チャジナイ)と言うそうです。チャジナイと呼ぶ鳥には「マミチャジナイ(眉茶鶫)」と言う野鳥がおり、同じツグミの仲間で、日本には渡りの途中で立ち寄りをします。関東では近くの公園でも見ることができます。管理人は信州戸隠にムギマキを撮影に行ったとき、観察することができました。

 

 「アカハラ(赤腹)」の全長は、23.5~24センチメートルで胸部から腹部側面にかけてオレンジ色の羽毛で覆われ、和名の名前の由来になっています。腹部中央から尾羽基部の下面にかけ白い羽毛で覆われ、頭部は暗褐色の羽毛で覆われて、顔や喉はやや黒ずんでいます。上クチバシの色は黒く、下クチバシの色は黄色味を帯びたオレンジ色です。足の色は黄色味を帯びたオレンジ色をしています(☆)。平地から山地にかけて森林に棲息しており、食性は動物食傾向の強い雑食で、主に昆虫類を捕食しています。繁殖は卵生で山地の森林で営巣します。

 

 もう暫くすると、亜高山帯の富士の裾野には、夏鳥としてノビタキやホオアカなどが順次飛来して来ます。フィールドセンター周辺の森の中では、クロツグミの綺麗な囀りも聴こえており、今年も営巣が期待できそうです。子育てが始まれば、フィールドセンターの水場にも頻繁に顔を出してくれることでしょう。初夏の暑い時期、避暑を兼ねた野鳥撮影も良いかもしれません。今回、フィールドセンターで越冬中に会えなかった「アカハラ(赤腹)」に出会えたことは大きな収穫でした。ここ富士山麓の河口湖フィールドでは、「アカハラ(赤腹)」が何のためにいるのか興味深いところです。どなたか教えて頂ければありがたいと思います。

 

注)     ☆印は、Webウィキペディアのアカハラ(野鳥)の解説を参照し、一部引用しています。

撮影場所;山梨県南都留郡河口湖町船津

撮影日;2022.5.06