ヤマガラやエナガたちは、夏鳥より一足先に巣立ちが完了。モフモフの残るあどけない二世たちは、生まれて初めての水場デビューに大興奮。冷たい水におそるおそる、大人の仲間入りはもう直ぐ。

 標高243メートルの権現山頂上には、野鳥のために水飲み場があることを以前に紹介しました。この時期、水飲み場には、彼の地で誕生した二世たちがぞくぞくやって来て水場デビューを果たしています。コンコンとあふれ出る冷たい水に触れる度に大興奮の様子。覚えたての水浴びも、心なしか弱めの羽ばたきに見えました。

 

 秦野市の権現山には、ハイカーや野鳥たちのために、喉を潤す貴重な水飲み場が設けられています。権現山には、丘陵の頂きに展望台があり、ここに上ると湘南の海や平塚そして秦野市の街並みが一望でき、北側には丹沢山系の山並も望めます。丘陵の一角にバードサンクチュアリゾーンが設けられ、野鳥のために喉を潤す水飲み場が提供されています。特別にしつらえた専用台からは、泉のように水が湧き出て水が止められることはなく、まさに野鳥たちの命のオアシスです。この水飲み場には先月の25日にも一度訪ねました。その時には、一羽たりとも見えなかった留鳥の「ヤマガラ(山雀)」や「エナガ(柄長)」の二世が、ぞくぞくと水場デビューをしているのです。二世たちは、まだ幾分モフモフ感が残り、ヤマガラの幼鳥などは親鳥と変わらない大きさなのに色はかなり薄めです。一方のエナガは、遠くで見た感じは親鳥と変わらぬ色合いなのに、近場に寄った個体を見ると薄い茶色です。色合いは殆ど親鳥と変わりありませんが、幼鳥は頬の部分まで黒なっているのが分かります。成鳥になると目元から頬に至るまでが白色です。両個体ともモフモフ感が残り、まだあどけなさも感じられます。幼鳥の時期は一つ一つの仕草が可愛いですね。

 

 野鳥が人前に現れる条件を色々考えましたが、水を飲む時が否応なく姿を見せてくれます。乾ききった喉を潤す時の野鳥の表情は何とも言えませんね。水飲み場で水を飲む野鳥と水浴びをする野鳥を比較すると、この時期は水浴びをする野鳥が圧倒的です。前回のブログで、水を飲む前に小枝に止まる所を狙って撮影する云々を紹介しましたが、水飲みに来た野鳥は動きが素早く水を飲むとさっさと立ち去ってしまい、撮影するには困難なことが分りました。その点、水浴びに来た野鳥は、水盆上の小枝で一瞬立ち止まる様子を見せます。この立ち止まり、野鳥にとって水に浸かるのは相当な覚悟の時間と思います。周辺の木の枝から直接水盆に降りて来る野鳥もいるので全部とは言えませんが、大方立ち止まりが見られ、この時に撮影すると良いでしょう。

 

 権現山の水飲み場は、野鳥撮影家の間では大変な人気のスポットになっています。この時期は人気の野鳥が少ないので、観察窓がふさがることはありませんが、秦野市(観光課)が提唱するように、利用者は観察窓を独占することなくできるだけ交代して沢山の人が楽しめるよう配慮したいものです。また、野鳥にストレスを与えないよう観察窓付近では小声での会話が望まれます。権現山の水飲み場で、今回初めて誕生していた野鳥の幼鳥たちの様子を見ることができました。

水浴びにやって来た「エナガ(柄長)」と「ヤマガラ(山雀)」の兄弟たち。

撮影場所;神奈川県秦野市 権現山バードサンクチュアリ 水飲み場

撮影日;2022.6.02