猛禽の「ミサゴ(鶚)」が魅せてくれるダイナミックなアユ漁。旋回して獲物を探知、発見するや羽根をすぼめ一気に降下。水面で羽根を広げ両足に獲物を捕獲。

 神奈川県の清流、相模川は、鮎の遡上する川として良く知られています。11月の中旬からは鮎を守るために禁漁期間を設け保護しており、釣り師や漁師の入らないこの時期は魚などを捕食する野鳥の楽園となります。「ミサゴ(鶚)」もその一つで、この時期は「ミサゴ(鶚)」の捕食活動が活発化するので多くの野鳥撮影家を楽しませてくれます。

 

 「ミサゴ(鶚)」は、猛禽類の中でも珍しく魚類を好物として捕食します。小魚を捕食する、「カワセミ(翡翠)」も野鳥撮影の登竜門として多くの野鳥撮影家を魅了していますが、「ミサゴ(鶚)」の捕食シーンはダイナミックで迫力があり、「カワセミ(翡翠)」とは比較にならないくらい撮影に興奮します。管理人はその道の先輩から「ミサゴ(鶚)」撮影の醍醐味を教えてもらい、その日のうちにすっかりトリコになってしまいました。「ミサゴ(鶚)」は、猟場の上空を旋回しながら、獲物を探知するや羽根をすぼめ、一直線に獲物目掛け急降下して獲物をゲットする、まさに電光石火の早業です。獲物を仕留めた時の飛沫の上がり方にも興奮させられてしまうのかも知れません。「ミサゴ(鶚)」撮影の面白さとトリコにする要素は色々ありますが、迫力ある狩りの仕方ともう一つは撮影の難しさが挙げられます。この野鳥撮影、何回か通わないと満足する写真が得られないのです。一番の難しさは、野鳥が猟場に来ることが保証されないことです。昨日来たからと言って今日来るとは限らないのです。管理人も今年は運が悪く、4回通いましたがかすりもせず、5回目でやっと出会うことができました。

 

 「ミサゴ(鶚)」の全長は、54から64センチメートル、翼開長は、150~180センチメートルで、その体重は1.2~2キログラムあります(☆)。今回、「ミサゴ(鶚)」は20センチを超える大きなアユ ?を捕まえていたのですが、自分の体重以上の重量物を運ぶことができるのでしょうか。大きな獲物を捕らえても、羽ばたいて起きる推進力が劣ると上昇できません「ミサゴ(鶚)」は足の外側に棘・トゲがあり、獲物に食い込む代わりに外れ難い構造になっています(☆)。獲物の大きさの判断を誤ると水中や海中に引きづりこまれ死に至るケースもあるそうです。「ミサゴは何キログラムまで運べる?」のブログを監修する周南市の東氏は、体重の半分相当、1キログラム程度まで、大きさは40センチメートルくらいの物まで運べる、と紹介しています。相模川には大きなボラが遡上しており、昨年管理人が撮影した「ミサゴ(鶚)」は、30センチメートルを超える大きなボラで、その重さに舞い上がるまで難儀そうだったのを確認しています。

 

 ミサゴ(鶚)」は、極地を除いてほぼ全世界に分布する野鳥で、ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の亜寒帯から温帯地域とオーストラリアの沿岸部で繁殖し、北方の個体はアフリカ大陸中部以南と南アメリカに渡って越冬します。我が国では、留鳥として全国に分布し、北海道には夏鳥として渡来しています。環境省のレッドリストでは準絶滅危惧に指定されています(☆)。「ミサゴ(鶚)」は、カモ等と同じように密生した耐水性のある羽毛により覆われ、水中に潜っても問題がありません。雌雄が同じ色彩で、背中と翼の上面は黒褐色、腹部と翼の下面及び顔は白色です。眼を通って首に達する太い黒褐色の線が走り、後頭部には小さな冠があり、クチバシは黒色、足は青灰色をしています。主に海岸に生息し、内陸部の湖沼や広い河川、河口などにも生息します。獲物は、上空から旋回しながら探し出し、獲物を捕捉するため羽根を上下に動かし静止する、「ホバリング」探知も行います(☆)。

 

 「ミサゴ(鶚)」の名前の由来は、諸説があり一つ目は水を探る→「ミサグル」→「ミサゴ」に転じた。二つ目は水音のビシャと水が跳ねる音、つまり「ビシャゴ」→「ミサゴ」に転じたなどです。英名では、Osprey・オスプレイです。自衛隊がアメリカから導入した新型戦闘機がこのオスプレイです。垂直離着陸ができ、飛行機の機能とヘリコプターが合わさった乗り物です。野鳥の「ミサゴ(鶚)」も獲物を捕獲して水辺から上昇する時は、まさに垂直に飛び上がります。

 

注)   ☆印は、Webウィキペディアのミサゴの解説を参照し、一部引用しています。

撮影場所;神奈川県高座郡寒川町 相模川寒川堰

撮影日;2022.11.16