境川今田遊水地のビオトープに水鳥の新規メンバー加入。シベリア育ち (?)の「トモエガモ(巴鴨)」が4羽渡来、コガモの群れと仲良く遊泳。遊水地を気に入り、この冬を元気に過ごして欲しい。

 神奈川県は、境川下流の氾濫に備え俣野遊水地や今田遊水地を用意しており、今田遊水地のビオトープには、今年も多くの水鳥たちが越冬のため渡来しています。特に葦原は、人工のものとは思えないほど自然の景観となり、水鳥たちに安全な隠れ家を提供しています。この冬、ヨシガモやハシビロガモに交じり、「トモエガモ(巴鴨)」が新規に確認できました。

 

  「トモエガモ(巴鴨)」は、シベリア東部で繁殖し、冬季になると中国、朝鮮半島、台湾、日本に南下し越冬します(☆)。日本にやって来る数は限られており、この冬、♀一羽、♂3羽、4羽の群れが、今田遊水地のビオトープに渡来し逗留しています。繁殖地のシベリアでは、ツンドラや森林地帯内にある湖沼や渓谷、湿原、水辺のある草原などに生息し繁殖をしています。食性は、植物食の強い雑食で主に種子を食べ、また水生植物、藻類、昆虫、甲殻類を捕食するとのこと(☆)。今田遊水地には、夏の間に「菱」が蔓延り広い水面を覆いつくしていますが、冬はこれが水鳥たちの貴重な食糧になっているのです。今年初めて渡来した、「トモエガモ(巴鴨)」たち、越冬場所として気に入ってもらえるでしょうか。

 

 トモエガモの由来は、頭部に黒、緑、黄色、白が巴状の斑紋が入ることから付けられ、絶滅危惧種Ⅱ類に指定された水鳥です(☆)。体長は、コガモと同じくらいで少し大きい程度です。警戒心が強いので人前には近付きませんが、同じ水鳥仲間がいれば安心して同じ行動を取ります。境川の堰堤に作られたサイクリングコースからは、今田遊水地を見下ろせる位置にあり、水鳥たちの様子を観察することができます。4羽の新規メンバー加入で、今田遊水地は少し賑やかになりましたが、広い水面はまだまだ余裕が見られます。水鳥たちは暗黙のテリトリーができているのか、それぞれの居場所が定まっており、「トモエガモ(巴鴨)」たちは、コガモの群れに交じって行動しています。

 

 水鳥の越冬場所として最初に今田遊水地のビオトープを選んだのは、オカヨシガモやハシビロガモでした。それが毎年定着するようになり、最近はヨシガモの渡来も定着しつつあります。「菱」などの備蓄食料を持つ今田遊水地は、いまや水鳥たちの冬の楽園になってきています。野鳥たちが安心して過ごせる場所ができ、多くの水鳥たちが集まって来て野鳥観察ができるのは野鳥観察家たちにとって感謝しかありません。渡来した「トモエガモ(巴鴨)」たちがこの冬を乗り切り、暖かい春が来るまで元気に過ごして欲しいと願っています。

 

注)  ☆印は、Web版ウィキペディアのトモエガモの解説を参照しました。 

 

撮影場所:神奈川県横浜市泉区 今田遊水地

撮影日;2022.11.25